2024年08月01日

貴重なサンショウウオ

 

当館では、今年貴重な両生類である「サンインサンショウウオ」の孵化・育成に成功しました。

「サンインサンショウウオ」は鳥取県や島根県、兵庫県などに生息しているサンショウウオですが、実は元々西日本に広く分布していた「カスミサンショウウオ」が、2019年に遺伝子などの違いで9種の新種として分類しなおされたうちの1種です。

 

4月頃に飼育ケース内で卵を発見し、

卵はコイル状をしていました

 

1カ月ほどで手の生えたオタマジャクシの様な幼生が生まれました。

1cmくらい

 

孵化後2カ月ほどかけて水中で成長していき、

あしがはえて

 

つい先日変態して上陸しました。

外鰓(頭のまわりのひらひら)が吸収されました

 

わからないことだらけで手探りでの飼育ですが、少しずつ成長を実感しています。これからも成長の様子も随時紹介していきます。

 

飼育スタッフ 伊藤

2024年07月30日

ヒメマスの超変身

今回は、当館で最も大きな水槽「二重回遊水槽」にて展示している「ヒメマス」に婚姻色が出始めましたのでご紹介します。

生き物の多くは季節の変化により繁殖のスイッチが入ります

スイッチが入ることで、体色や体形が大きく変化する生き物もおり、特に繁殖期にのみ見られる特有の体色を婚姻色と呼びます。

ヒメマスにおいては、通常は銀色の体色に流線形の体形が印象的ですが、繁殖期のオスでは体色も赤く染まり色鮮やかな婚姻色に変化します。

さらには、背びれ付近が盛り上がり、まったく違う魚に見えるほど劇的な変化を遂げます。サケマスの仲間に見られるこのような体の変化を「せっぱり」と呼びます。

 

今はまだ体色がピンク色になり、口先だけが盛り上がり始めている段階ですが、今後どのように変化するのかを見届けたいと思います。

 

飼育スタッフ 川野

2024年07月29日

特別コラボ展💎

7月14日(水)から当館初の特別コラボ展“『生物×宝石』展”を開催しております。

コラボを受けてくださったのは、主にSNSで活動していて、宝石と融合させた作品を描かれている色鉛筆作家の安部祐一朗さんです。

なんと、今回のコラボ展のために富士の介など当館の象徴的な生き物と宝石を融合した描き下ろし作品を5作品描いてくださいました。

展示では描き下ろし作品とそのモチーフになった生き物の展示だけではなく、作品で描かれている宝石の標本も一緒に展示しています。

また、コラボ展の開催に合わせて、1階企画展コーナーの飾り付けも力を入れて作っているので、細部まで見てくださると嬉しいです。

この特別コラボ展は2024年7月14日(水)〜2024年12月29日(日)の期間で開催予定です。

美しい作品と生き物たちを是非じっくりと御覧ください。

飼育スタッフ 一見

2024年07月26日

【続報】ホトケドジョウの繁殖について

以前からブログでご紹介しているホトケドジョウの繁殖について、続報をご報告します。

最初の産卵から約3カ月が経ち、成長の早い稚魚は約3cmまで大きくなりました。

親のホトケドジョウと変わらない体色になってきて、稚魚の成長を実感しています。

成魚と同じく体の斑点が現れてきました。

 

まだプラスチックケースで飼育をしているのですが、

手狭になってきたのでそろそろ水槽に移動させようかと検討しています。

現在の飼育場所の様子。それぞれのプラスチックケースに稚魚が入っています。

 

今年はかなり多くの稚魚が生まれたのでエサやりや換水がとても忙しかったのですが、

引き続き丁寧な飼育を続けて立派なホトケドジョウに育てていきます。

 

飼育スタッフ 鷲雄

2024年07月19日

新体操選手

一日の作業を終えて暗い館内を見回りしていると、ある生き物が驚きの行動をしていました。

なんと、2階のおいしい水族館で展示している「モクズガニ」が倒立をしていました。

第2歩脚を水槽の仕切り板に差し込みうまくバランスを保っています。

この光景を見て思わず「どうして!」と叫んでしまいました。

毎日観察していても生き物達の意外な行動はなかなか見る事ができません。

なので、今回の様な写真が撮れたらまたご紹介したいと思います。

 

飼育スタッフ 髙部

2024年07月13日

アツアツな夫婦

最近は気温もかなり上がり、夏休みへのカウントダウンが始まったなと感じる日々です。

 

先日、閉館作業でさかな公園の奥の方までお客様がまだ残っていないか見回りをしていると、ある生き物に遭遇しました。

それは「マガモ」のペアです。

毎年今ぐらいの時期にさかな公園に来ているそうですが、同じペアかは分かりません。

オスは優雅に泳ぎ、メスは石の上で休んでいる姿を見る事が出来ました。

もし見つけた際は驚かせたりせず、ちょっと離れた位置から観察してみて下さい。

 

飼育スタッフ 髙部

2024年07月12日

日光浴の場所取り合戦

水族館1階の「岸辺の魚水槽」では「ミシシッピアカミミガメ」を2匹、「ニホンイシガメ」を1匹展示しています。

先日館内の見回りをしていたら、桟橋の上で3匹のカメが日光浴の場所の取り合いをしていました。

日光浴の場所取り合戦

 

よく観察していると、ミシシッピアカミミガメがニホンイシガメを押しのけて一番暖かい場所に陣取っていました。

 

ミシシッピアカミミガメはアメリカ原産の外来種としても知られ、

自然界でも在来種のニホンイシガメの日光浴の場所を奪ってしまっているなどの問題がありますが、まさにそんな場面を見てしまいました。

 

アカミミガメはニホンイシガメよりも体が大きく、パワーもあるのでなかなか敵いません。

自然界でも同じようなことが起こっているのだろうなと思い、改めて外来種問題を考えさせられました。

 

飼育スタッフ 鷲雄

2024年07月11日

7月マンスリー水槽

7月に入り川に釣りやバーベキューに行く機会が増えると思います。

安全に見える川の中にも、実は危険な生き物が潜んでいます。

今月のマンスリー水槽は、そんな川の危険な生き物「アカザ」です。

石の下に注目!

この魚は日本固有種で、山梨県の川にも生息しています。

 

とても可愛らしい顔をしていますが、実は胸ビレと背ビレに毒を持っています。

毒棘にささると、ジクジクした痛みがあり、赤くなります。

ヒレの毒棘は短いため刺される事はまれですが、普段石の下に隠れているため、

川の中を裸足やビーチサンダルで歩いていると誤って踏んでしまい刺されてしまう事があります。

川や海に入る時は事前にどんな生き物がいるか、どんな格好をすれば良いのかを事前に調べる事がお勧めです。

頭隠して尻隠さず

 

飼育スタッフ 西中

2024年07月09日

水族館で稲作~館内で田植え~

 

5月21日(火)のブログにて「水族館で稲作~練習編~」で紹介した稲ですが、あれから順調に大きく成長したので次のステップに進みました。

 

今回は本番を想定して、室内で水槽を使った稲の発育試験を行っています。

試験水槽の隣には別株の稲を発泡スチロールにいれて少し前から育てていますが、すごい勢いで成長しています。どうやら今回のために用意した植物育成ライトが効いているみたいです。

目標の穂がつくまでまだまだ時間がかかりそうですが、これからの成長の様子も紹介していきます。

 

飼育スタッフ 伊藤

2024年07月05日

ゲンゴロウ保育園だより その2

64日のブログで紹介した「ゲンゴロウ」の卵ですが、々とふ化が始まっています。

 

あのインディカ米のような細長い卵の中には、緑色の羽が美しい成虫の姿からほど遠い、

独特な姿をした幼虫が入っていました。

ゲンゴロウの保育園だ

姿だけでなく、主食や摂餌方法も成虫とは大きく異なります。

フ化後の幼虫

成虫が主にカエルなどの死骸を食べる腐肉食性なのに対して、

幼虫は生きた生物しか食べない肉食性の生活史を送ります。

タガメやミズカマキリと同じ食べ方

幼虫はその大きなアゴで獲物を捕まえると、獲物の体内に消化液を送りこみ、

溶かしてから吸い上げるという「体外消化」という方法で摂餌するのが特徴です。

 

なんでもよく食べる成虫に対して、好き嫌いの激しい幼虫の飼育に四苦八苦しつつも、

新たな命の躍動を感じる毎日を過ごしています。

 

飼育スタッフ 川野