2024年04月16日

お池の中にはなにがある?

4月8日のブログにて「ゲンゴロウの冬眠明け」について紹介いたしましたが、館内だけでなく、水族館を取り囲む自然の中にも、春の訪れを知らせてくれる生き物たちがたくさんいました。

今回はそんな「春のさかな公園」についてのお話です。

 

さかな公園の奥には「じゃぶじゃぶ池」という水遊びができる施設があります。夏になるとこどもたちが水遊びを楽しんでいますが、この時期ではまだまだ寒いので利用できません

そんな冷たいじゃぶじゃぶ池を利用している生き物がいました。

なんと池に溜まった雨水にカエルが産卵していました。

 

カエルの卵は多種多様で、種類によって卵の形や産卵場所、産卵時期が大きく異なります。

卵の形状から判断すると、   じゃぶじゃぶ池では2種類のカエルが産卵していました

 

一つはこちら。

「アズマヒキガエル」の卵です。ひも状のかたまりが特徴で、透明なゼリーに包まれた黒い粒の一つひとつが卵です。

もう一つはこちら。

あまり特徴がありませんが、まだまだ肌寒いこの時期に産卵していることから、「ヤマアカガエル」だと分かります。

 

他にも木の上に白い泡に包まれた卵を産む種や、オタマジャクシの間は何も食べずにカエルに変態する種など、カエルの世界はとても興味深いです。

皆さんもぜひ晴れた日には田んぼや池に行って、カエルやその卵を探してみてください。

 

飼育スタッフ 川野

2024年04月13日

桜が咲き始めました!

長い冬が終わり水族館の周りに春の便りがやってきました。

緑がピンクに!

4月6日のブログではようやく桜の蕾が膨らんできたとお伝えしましたが

連日の暖かさでほとんどの蕾がピンク色になり、ポツポツと咲き始めています。

咲いているのを見つけた!

水族館から少し離れた河口湖や富士吉田周辺の桜は満開ですが、水族館の周辺は満開になるまであと少しです。

足元を見ると「ツクシ」が地面から顔をのぞかせていたり、

タンポポ」や「スミレ」の仲間が綺麗に咲いています。

春の陽気を感じながら水族館をお楽しみください。

飼育スタッフ 西中

2024年04月12日

食害

 

水族館1Fで展示中の「アメリカザリガニ」水槽にレイアウトとして春の植物が植え直しました。

「フキ」や「オオイヌノフグリ」など春を感じられる様々な植物を植えていたのですが、

 

数日後にはアメリカザリガニによって食べられて見るも無残な姿になってしまいました。

 

 

ザリガニが植物を食べることは以前から言われており、

2023年6月から条件付き特定外来生物に指定された際は、「水生植物を消失させる」ことが理由の1つとされています。

ここまで食べられてしまいました

ザリガニが植物を食べることはある程度は想定していました。

ただ陸上植物だったこともあり、おやつ感覚で食べる程度かなと思っていましたが、ここまで食べてしまうとは私自身ザリガニを侮っていました。

 

飼育スタッフ 伊藤

2024年04月08日

春、春、春!

あっという間に4月を迎えると同時に心機一転の令和6年度が始まりました。

社会人ならびに飼育スタッフとして2年目の春を始められることをとても嬉しく思います。その分自身のやるべきこととやりたいことも増えていき、不安とワクワクでいっぱいな今日のこの頃です。

 

最近は暖かい日も続き、少しは過ごしやすい気温になってきたようにも感じます。

水族館の生き物たちも4か月ほどの冬眠から続々と目覚め、迫りくる「春の訪れ」を感じているのだと教えてくれました。

 

おめめぱっちり

当館で飼育・展示を行っている「ゲンゴロウ」も例外ではなく、ここ一週間は発達した後ろ脚を使い、懸命に泳ぎまわる姿を見る機会が増えました。

真冬の間は気温・水温の低下に伴い水底でジッとしているのですが、その間は餌も食べないため、ほとんどお世話をする必要がなくなります。

こうなるともはや僕は『水』を育てているのかな?という錯覚に陥ることがあります。

ある冬のゲンゴロウ水槽。寂しい

こうして無事に冬を乗り越えエサを食べ始めるようになると、ここでようやく「僕は『ゲンゴロウ』を育てているのだ!という実感を得ることができます。

それどころかバックヤードのゲンゴロウ水槽では、たちどころに包接という繁殖行動を始めておりました。メスの背中にオスがピタリとくっつき、おんぶの状態で泳ぎ回ります。

まだ4月上旬よ?

ゲンゴロウは山梨県では絶滅危惧種ⅠB類、すなわち「近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種」であるため、今年度は繁殖をはじめとした保全に向けた取り組みを進めていきたいと思います。

 

飼育スタッフ 川野

2024年04月06日

展示デビュー

毎朝桜の開花のニュースを見ますが、水族館の周りの桜は蕾がようやく膨らみ始め、

満開になるまでにまだまだ時間が掛かりそうです。

まだまだ蕾です

忍野村の桜の見頃は4月中旬から下旬にかけてとの事なので、桜の様子などをブログにてお伝えしていきます。

さて、4月に入り小学校デビューや社会人デビュー、花粉症デビューなど「○○デビュー」という言葉をよく聞くようになりました。

今月のマンスリー水槽は、水族館のバックヤードにいたものの「展示デビュー」する機会がなかった生き物「マダライモリ」です。

正面顔がとても可愛い

フランスやスペインなどの森林を流れる水辺に生息するイモリの仲間です。

夜行性なので流木の陰に隠れている事が多いのですが、緑と黒の体色と鮮やかな赤い模様がとても綺麗で目立つため、

水槽内を探すとすぐに見つける事が出来ると思います。

見つけてみてね

バックヤードには展示デビューを待っている生き物がまだまだいるので、

毎週土曜日に行っているイベント「バックヤードツアー」で観察してみて下さい。

飼育スタッフ 西中

2024年04月01日

魚にトレーニング?

水族館で展示している生き物にエサやりをしていると、たびたび生き物ではなく「エサ」に注目が集まることがあります。

当館で使用している餌は大きく分けて3種類あり、「人工飼料」、「冷凍餌料」、「生きエサ」に分けられます。

これでもほんの一部

その中でも人工飼料は栄養成分がバランスよく含まれており、冷凍餌料、生きエサよりも安価で保存もしやすいという長所があります。

しかしながらその反面、生き物が人工飼料を食べるようにトレーニングをする「餌付け」という物が必要です。

 

この餌付け、時間がかかる上に食べない生き物はとことん食べないため、根気よく続けることが大切です。

人工飼料を砕いた粉を違う餌に付ける、冷凍餌料の中に人工飼料を忍ばせるなど、あの手この手を使い餌の味を覚えさせる、味に慣れてもらうようにします。

もっといいやり方があるかも

 

希少生物水槽で飼育している「ニホンウナギ」も3か月のトレーニングの末、ついに先日、餌付けが完了しました。

完全に餌付くことができれば、目の色を変えて飛びつき、一心不乱に頬張る姿を見る事ができます。

食べてくれてありがとう

人工飼料だけでなく様々な餌を組み合わせて与えることが、生き物たちが食べ飽きず、健康に育てる上で大切なのではないかと思います。

 

 

飼育スタッフ 川野

2024年04月01日

春の新ファッション?

ここ最近暖かい日が増えたおかげで、両生類コーナーのカエルたちが活動的になってきました。

今日は朝の見回り中に「トノサマガエル」と目が合ったので写真を撮ろうとカメラを構えたところ、

隣にいたアカハライモリの違和感に気づきました。

なんと頭に小石を乗せているではありませんか。

いつどうやって頭に乗ったのか不思議で仕方ないのですが、

なによりアカハライモリがまったく気にしていないところが面白かったです。

そもそも頭の小石に気づいていない可能性があります。

朝からクスッと笑える出来事でした。

飼育スタッフ 一見

2024年03月30日

淡水のシーラカンス

1階企画水槽で開催中の企画展「怪物な生き物」ですが、終了まであと1ヶ月を切りました。

今日はその企画展の中から「ブラックタライロン」を紹介します。

鋭い牙や立派な鱗などの勇ましい姿から、別名「淡水のシーラカンス」とも呼ばれています。

泳いでいる姿がとてもカッコイイ

見た目がシーラカンスに似ているため古代魚だと思われがちですが、実は古代魚には分類されません。

観賞魚でお馴染みのネオンテトラなどと同じ「カラシン」の仲間です。

川底や物陰に潜み、目の前を通った魚を襲って捕まえるという待ち伏せ型の捕食行動を取ります

かなり攻撃的な性格をしているため、水槽道具を近づけると鋭い牙で噛みついてきたり、体当たりしてきます。

この牙が本当に痛いです。

掃除道具には攻撃的ではありますが、

水槽の蓋を開けると餌が貰えると思うのか上の方に泳いでくるので、少しは人に慣れてきたのかなと思っています。

見た目がかなりかっこいい魚なので、是非この機会にご覧ください。

飼育スタッフ 西中

2024年03月26日

瞳が輝く魚

1月2日から水族館2階企画展示コーナーで開催中の「光り輝く生き物展」も、残るところあと半月となりました。

今回は、その中でも特に人気のある魚“アフリカンランプアイ”をご紹介します。

アフリカンランプアイ

アフリカンランプアイは、ナイジェリアやカメルーンなどの西アフリカに分布しているメダカの仲間で、

目の上のウロコが光の反射で青く光って見えるのが特徴です。

なぜ光らせる必要があるのかは調べてみても分かりませんでしたが、

群れを成して泳ぐ際の合図や目印になっているのかなと個人的に思いました。

アフリカンランプアイが見られる「光り輝く生き物展」は、4月15日(月)まで開催しています。

蛍光ブルーに輝く瞳を持つアフリカンランプアイが群れを成して泳いでいる幻想的な姿を是非ご覧ください。

飼育スタッフ 一見

2024年03月22日

マ サ カ サ カ サ マ

先日、水族館のバックヤードで飼育している「クレイジーフィッシュ」という魚が卵を産んでおりました。

水族館やペットショップでもあまり見かけないこの魚ですが、日本国内でも私の知る限り1つしか繁殖例の情報がなく、比較的珍しい事例なのではないかと思いますのでご紹介します。

背泳ぎの達人(達魚?) 

まず初めに、この魚はインドネシア周辺の淡水・海水の両方を行き来する魚で、ハゼの仲間に分類されます。

クレイジー(狂った)」と呼ばれる所以としては、いつでもどこでも「逆さま」になって泳いでいるからとされています。

これは、水草や水中に沈んだ木・枝にピタリと張り付き、餌とする生物をジッと待ち構えて捕食する生態のためだと考えられます。

 

仔魚(赤ちゃん)の頃はどのような姿かというと、

孵化後2日 黒い丸は卵黄だろうか

全長は3mm前後の非常に細い体型をしており、開口は確認できませんでした。

 

それではここからが本題です。いつも逆さまのこの魚、果たしていつから逆さまに泳ぎ始めると思いますか。

指先くらいの大きさからか、親と同じ姿カタチになってからなのか、皆さんの予想はいつ頃でしょうか。

雨のように降ってくる

なんと生まれてすぐから逆さまでした。本当に生き物は「不思議」に満ち溢れています。

頭の方が重いためか、逆さまになってスーッと緩やかに沈んでいくかと思えば、急に全速力で浮上し始めるものですから、

時間を忘れて一日中観察していられます。

 

残念ながら、生まれてきた仔魚の口に合う餌や「水の環境」を見つけられず、大きくすることは叶いませんでした。

悔しい気持ちでいっぱいですが、得られた経験と反省点をじっくり整理し、またの機会に活かしていきたいと思います。

 

飼育スタッフ 川野